Posted on: 2021年1月30日 Posted by: kepro-keio Comments: 0

【プロフィール】

 名前:森川芹

 留学時の学部学年:法学部政治学科3年 ※コロナで帰国した後、慶應に復学

 留学先での専攻:リベラルアーツ(国際政治)

 留学先での言語:英語

 慶應での所属団:霞会(1年次)、逗葉ヨットクラブ、HLAB

留学をした理由と、ブラウン大学を選んだ理由を教えてください

「会う人を変える」「24時間の時間の使い方を変える」「自分のいる場所・環境を変える」という3条件が揃うと人は変わるし成長する、そしてその格好の機会が留学だというお話をお世話になっている人からよく言われていました。

大学に入ってからは自力で知らないところへ行ってなんとかやっていきたい、そのために留学をしたいという強い意志がそこにありました。ブラウン自体は元々知り合いで行っている人が多く、その方たちが多彩で面白い人ばかりでした。また、交換留学の提携校が慶應だけだというのを聞いていて、慶應に入ったらブラウンに行ってみたいという憧れが入学前から強くありました。

 

出願前の準備の仕方について教えてください

自分が実際に留学先で学ぶことと、出願の上でどのように相手を説得して自分が留学に行く「チケット」を勝ち取るかというのを別で捉えていました。全く自分が興味のないことを言ったらそれは嘘になってしまいますが、戦略として過去にブラウンに行った先輩方がどのように留学準備をしていたかというのを徹底的に調べたいと思い、出願の時点で過去3年分までのブラウンの先輩全員にコンタクトを取ってお話を聞かせていただきました。留学中に何をされていたのか、また大学の雰囲気などを聞く中で圧倒的に皆さんが留学を楽しまれていてブラウンが好きだというのが伝わり、自分も心からそこに行きたいという気持ちが高まりました。実際にお話を聞きに行ったのは本当に良かったです。

 

どのような授業を履修していましたか?

元々法学部政治学科なので、政治学を中心とした授業を日本では受けていましたが、留学に行くからには慶應で学べないことや普段忙しくて向き合い切れていなかった自分が好きなことをやりたいという思いがありました。元々絵を描くことが好きで、美術史に興味があったのですが、ちゃんと学術的に学べていないというのがあったので、そこがきちんと満たせる環境が良いというのはありました。なので、比較美術史や、自分で絵を制作する授業をとっていました。ブラウンの隣に世界屈指のリズディーという美術大学が併設されていて、普通であれば例えば、慶應の学生が東京芸大の授業を取れるというのはあり得ないですが、それをできる権利があり、中々ない機会だったので、ブラウンで決められている条件をなるべく全て満たすように前期のうちに授業の単位を取っていました。ですが、後期にいざリズディーの授業!と思っていたところコロナで行けなかったので、それはかなり残念でした。また将来いつかのタイミングでアートマネジメントなどを学びに大学院にも行きたいという次なる目標が出来ました。

 

アート以外にも、自分が興味のある授業を一貫性関係なく取りました。例えばフランス語やプログラミング、またポピュリズムの少人数のセミナーなど、色々と取っていました。半分くらいは政治学関連のポピュリズムや政治経済学、国際貿易論やパブリックディプロマシー(広報文化外交)に関する行政の文化政策のセミナーなど、慶應にはないタイプの授業をたくさん取りました。前期後期で4つずつ授業を取っていましたが、1つ1つの授業がコミット度が重いのでフル稼働していた覚えはあります(笑)

 

留学中にあった新たな気づきについて教えてください。

授業に関連していうと、先ほど自分の取りたい授業を一貫性関係なく取っていたお話をしましたが、自分が素直に面白いと思う授業を取る中で、逆に後から自分が普段から考えていて好きである分野に気付きました。それはコミュニケーションというものそれ自体、つまり、人にどう伝えるか・人をどう動かすかということに興味がとりわけあるのだということです。それこそ国際政治のパブリックディプロマシーで言えば、他の外国民にどのようにして「日本という国を良い国だと印象付けるか」という意味でのコミュニケーションや、コミュニケーションが起こる媒体としてのソーシャルメディアにおいてそれがどのように民主主義に影響を与えているかについて考えることができます。また、政治学関係なく、例えば美術においても、同じようなことを考えていても画家によって伝え方や媒体が違うので、それぞれが自分の伝えたいことをどのように表現に落とし込んでいるかということや、自分自身も何か表現したいと思っていることをどのように作品にするかを考える中で、実はそこに核となる自分が面白いと思っていることが見えてきました。そこまで意図していたわけではなかったのですが、留学中は等身大で自分の好きなことをやるというあまりなりふり構わず自分の好きなことをやるっていうのを気にしていたからこそ自ずとそうなったのかなと思います。

 

学業以外で印象に残っていることを教えてください

ゆっくり友人とお茶を飲みながら話す時間がとてつもなく今でも鮮明に頭によぎります。最初の方はパーティーに行ったりもしていましたが、途中から自分があまり楽しめるタイプではないということが分かりました。全然強制的に行く必要もないですし、行かずに楽しんでいる人もいたので、そのことに気付くことが出来て良かったです。

仲の良かった人は1年生から3年生などと、多岐に渡っていました。慶應以外の交換留学生はいませんが、トランスファーと言ってアメリカ国内の他大学に1・2年通っていた人が編入して学生が多く、そのような人たちと最初にオリエンテーションなどで会えたので、そこで仲良くなりました。また、寮などでも友達を作りましたし、最初の方は少し無理をしてでも色々なイベントに行って、そこで自分が「もっとこの人のことを知りたい」と思った人には積極的にご飯に誘ったり、一緒に勉強をしたりなどしていました。

 

・留学中特に大変だったことはありますか

最初に着いて感じたのは、その環境で自分が1番英語のできない人間だということです。自分が交換留学生で、且つ慶應から来ているもう一人の交換留学生はずっと英語で話す環境で育ってきた方であったからです。そこで自分に対しての期待値を調整でき、「自分が、自分が」と常に発言して常に人を圧倒して、といういかつさを抑えられたので、そのような意味では良かったのかもしれません。

 

逆に留学をしていると、最初の方は非日常の連続で毎日に違う人と会って毎日違うイベントに行って、刺激に満ちた日々でしたが、必ず良い意味でも悪い意味でも慣れる日が来ます。慣れる日々を迎えると、「自分は何をしに来たのか」や、「自分って全然留学を積極的にエンジョイできてないのではないか」など、自分と向き合う時間が長くなりました。そもそも自分は何がしたいのかという問いが常に頭を蠢いていて、改めて自分自身に向き合う良いきっかけにはなりました。そのことで夜も眠れなくなってしまい、不眠が続く日もありましたが、その時にやって実際にポジティブになれたこととして、頭の中で思っていることを全部言葉として書き起こすということです。メモでひたすら書いて、たまに自分の中で最終的に答えに到達したと思えたものは例えばインスタグラムに載せてみたりだとか、頭の中を意識的に整理するようになりました。それが習慣づいて次の日はリフレッシュして過ごせるようになったりもしましたが、どれだけ不眠の日々が続いたかは覚えていないです(笑)

 

・課外活動について教えてください

外部の方をお呼びし、アート・デザイン・ビジネスなどに関する分野をテーマとしたワークショップを隣の美術大学と連携して企画をする団体に関わりました。その運営は1年目からできなかったのでボランティアを何回かし、そこでデザイン思考やアート思考に関する斡旋などをしていました。

 

また、ヨット部(慶應でもヨットクラブに所属)があったので、まだ寒くならないうちは日中にやったりしていたのですが、日本よりも船の扱い方が雑なのに、日本の体育会よりも女子が上手でびっくりしました。ヨットの選考枠といって大学で有利になるものもあり、そのような意味でガチなヨット部だったので、冬の忙しい時期はあまり行っていませんでした。最後の方は、正規生の日本人の1年生がJ POPのアカペラ団体を立ち上げていて、意外にリフレッシュになったのでそちらにも参加していました。

週末はどのように過ごしていましたか?

基本的には図書館に行って勉強するか、隣の美術大学にあるリズディー美術館に行くか、という感じでした。ブラウンは田舎にあって都心に出にくかったのであまり旅行に行くことなどはなく、その分友人とゆっくり話して過ごしていました。

 

留学を通して変わったことを教えてください。

留学はいい意味でも悪い意味でも自分の現状を知る良い機会になったと思っています。一方で自分の英語力や学力が一般的に頭の良いと言われている学生が通う大学ではこのくらいなのだという立ち位置を客観的に理解しつつも、その裏で自分が思わぬところで友達から評価されて褒められることがあったので、自分の好きなことやキャラクターが相手からすると良く見えているというポジティブな意味でも自分の現状を知ることができて、それはきっと大切だったのだと思います。その現状にも自分が何に関心を持って生きているのかという核の部分が見えてきたのが、就活という意味でもかなり為になりました。また、自分の感情のコントロールの仕方や起伏の保ち方、優先順位の付け方なども学びました。日本での課外活動も留学中にまだやっていたので、授業や就活などもあり、やることが多すぎたのですが、「この時はこれに集中する」、例えばそれが友達作りの時もあれば就活の時もあり、優先順位をつけることで容量よく生きる力が身についたかもしれないです。

 

当初の留学する目的は果たせましたか?

正直いうと、完全には達成し切れたとは言えません。それこそ取りたかったリズディー(美術大学)での授業をコロナの影響で取れなかったのは大きかったです。それ以上に優先順位をつけて容量良く生きる中で、ちょっとずつ見えない妥協というものはしていて、今だからこそその時の自分にとっては難しかったとわかりつつも、「あの時こうしていれば」という蟠りはどうしても感じてしまいます。これは性格上のことなのかもしれません。ただ留学が全てではないですし、それが逆にまた次のアクションである留学後の今につながっているので、達成できなかったと思っているその要素をきちんとこれからの人生で満たしていきたいと思っています。冒頭で言っていた、自分が違う場所に行ってどう自分らしくいられるか、どう変われるかという意味で言うと、絶対変わってはいます。客観的に自分の現状を見つめ直せてはいるので、そのような意味では貴重な機会だったと思います。

 

その上で後輩へアドバイスをお願いします。

留学に行くか行かないかを迷っているなら、絶対にチャレンジすべきです!迷うくらいの余裕があるなら、やはり枠は少ないので、行くために自分が何をできるかということを戦略的に考えるべきだと思います。ただ、後輩と話していてよく聞かれるのが、願書や奨学金の書類で出しているものと今の自分の関心が違っていて、それに引っ張られて、授業もその通りで行かなくてはいけないのではないか、ということです。それは本当に、チャンスを手にしたからもうあなたのものだし、誰もそのことに関して何も言えないので、留学に行けるからには自分が好きな授業を取って、素直にやりたいことを見つめ直す機会として捉えるべきだと思います。

 

もう1つ言うとすれば、本当に「留学する=自分がめちゃめちゃ変わる」だったり、やりたいことが全てクリアになって、悩みが全てなくなるというのは大間違いです。これは自分自身も若干思っていたことではあるのですが、留学に行けると決まった後が1番重要で、そこからその期間自分が何をしたいかをちゃんと考えなければなりません。だからこそ、そういう意味ではちゃんと考えなければいけないと言いつつも、あまり用意せずに、本当に肩の力を抜いて自分らしくいることは大事で、楽しんで欲しいです!留学に行く前は慶應の留学の手引きに載っているストーリーを見て、どれもあまりにも綺麗すぎると感じました。きっとみんなそれぞれ留学中に抱いた葛藤や綺麗じゃない悩みが絶対にあるはずなので、それをきちんと前もって自分にも起きることだと踏まえた上で行くと楽ですし、自分を責めず済むと思います。