Posted on: 2021年6月8日 Posted by: kepro-keio Comments: 0
プロフィール

伊藤栞さん
法学部政治学科所属。3年秋学期からパリ政治学院にオンライン留学中である。留学終了後は現時点では学年を落とす予定。



留学を志したきっかけ・志望動機を教えてください。

高校生の頃、国連職員になることが夢でした。それなので、第二外国語として国連の公用語であるフランス語を、大学ではインテンシブで履修しました。しかし、授業だけで触れるフランス語はどうしても学習する目的にとどまってしまい、コミュニケーションツールとして活用する場面がほしいと考えるようになりました。
そこで、大学2年から日仏学生フォーラムに所属しました。この団体は、将来日仏の架け橋になることを目的に、日本とフランスの学生で構成されています。その年の夏は、ホストとしてフランスの学生を迎え、官庁・企業訪問や日本の文化体験をするプログラムを実施しました。特に、フランス人の独特な考え方や、批判的かつ論理的に議論を展開していく姿勢が印象に残っています。目下の仕事ではなく、人生を楽しむことを第一に重んじるフランスに惹かれ、交換留学を志しました。

パリ政治学院を志望した理由と出願準備についてお話をお聞かせください。

元々政治学に関心があったため、パリ政治学院が真っ先に候補として思い浮かびました。第1志望をパリ政治学院としましたが、第6志望までびっしり大学を埋めた記憶があります。
語学証明としては、IELTSと仏検を提出しました。私は純ジャパで、高校時代の3週間の短期留学経験しかありませんでした。9月から準備を始め、たった1回きりのIELTSと仏検の受験チャンスに懸けてかなり集中して勉強しました。

オンライン留学を選んだのはなぜですか?

2020年秋になればフランスへの渡航が叶うかもしれないと期待していたからです。また、世界から意欲的かつ優秀な学生が集まるパリ政治学院で学ぶ機会を掴めるのならば、挑戦しない理由はないと思いました。

留学前はどんな準備をしましたか?

留学先では英語メインの授業を履修予定だったので、自己学習に加え、英語で開講されている慶應の授業を履修しました。フランス語はインテンシブの授業に加えて、外部のオンライン講座を受講していました。また、語学力向上には習慣的に外国語に触れるのが大事なので、英語やフランス語でポッドキャストを聞いたり、新聞を読んだりしました。
語学以外では、大学のガイダンスを受けたり、知り合いやWEBサイトから情報収集したりしました。

履修した授業について教えてください。

フランスへの渡航を前提に、秋学期は純粋に興味のある授業を履修していました。それなので、7~8時間の時差はかなり大変でした。春学期は時差を考慮し、18:00~22:00の時間帯で出席できる授業を履修しています。
内容としては、政治学や社会学を中心に履修しています。芸術・教育・労働など様々なレンズを通してジェンダーを考察する授業、アメリカとEUの気候変動政策の違いを分析する授業、様々な国のケーススタディーを通してソフトパワーを考察する授業を履修しています。これらに加えて、留学生と学ぶフランス語も履修しています。パリ政治学院は65%を留学生(ヨーロッパ諸国の学生が多い)が占めています。語学の授業には大学院生もおり、国籍だけでなく年齢の多様性もあります。

授業の雰囲気はどうでしたか?

10~15人程度のディスカッション形式の授業です。大講義型授業の場合はゼミ形式でのアウトプットの機会が必ずセットになっています。予習が多く苦労しますが、即座に意見を論理的に展開するクラスメイトの姿にオンライン授業でも刺激を受けています。資料や本の入手はGoogleドライブやMoodle(keio.jpのようなもの)から入手できます。8~9割はオンライン、残りはハイブリッドで開講されています。

一番印象に残っている授業は何でしたか?

ジェンダー平等の授業です。ジェンダーを教育、経済、芸術といった色々なスコープを通して多角的に考察したのが新鮮でした。また、フランスだけでなく、アメリカ、スペイン、メキシコ、ブラジル等にバックグラウンドを持つクラスメイトの意見を聞けた点がパリ政治学院ならではの経験だったと考えています。

オンライン留学のメリット、デメリットをお聞かせください。

【メリット】
オンライン留学自体が日々のモチベーションとなりました。後から振り返って、渡航できなかったせいで留学生活が失敗だったと思いたくありませんでした。オンラインだからこそ、昼の時間を有効利用して慶應のゼミに出席できる、インターンシップで多くの社会人と関われる、資格の勉強ができる等、利点も多かったです。

【デメリット】
授業外の異文化経験です。パリ生活はもちろん、授業と授業の間に教授や学生間の交流がなく、クラスメイトとの関係構築を十分にできなかったのが残念でした。
時差についてはそれほど悩まされませんでした。パリ政治学院は世界各国の学生が快適に授業を受けられるよう整備されています。例えば、全ての授業がレコーディングされ、後からフォローアップできる環境を整えられています。また、教授との交渉次第でリアクションペーパーの提出をもって出席と認められるケースもあります。

課外活動は何をされていましたか?

パリ政治学院のサークルには所属しませんでした。留学初期にリモートで所属できるかコンタクトをとりましたが、大学自体オンラインで授業が導入されて日が浅く、体制が十分に整っていませんでした。
学外では、複数のインターンシップに従事しています。たとえば、高校2年次に参加したAIG高校生外交官プログラムの企画・運営に大学1年の頃から携わっています。また、大学1年次に出席した青年版ダボス会議「One Young World」の日本支部でインターンシップをしています。来年東京でサミットが開催され、それに向けて旗振り役を務めています。ビジネスの観点から、幅広い業界や社会情勢について理解を深めています。

注:AIG高校生外交官プログラムは高校生を対象にした日米交流のサマープログラム 注:One Young Worldは、190カ国から30歳以下の若者が年1回一堂に会し、4日間サミットが開催される

留学後の心境の変化や今後のビジョンを教えてください。

物事に対する考え方が変わりました。授業を受ける時、今までは新しい知見を吸収する方向にフォーカスしていました。しかし、留学を通じて世界中の学生と勉強する中で、答えの是非に関わらず、どのような論点を設定するかが肝心だと学びました。クリティカルな態度がパリ政治学院では大事にされており、引き続き自分も思考力を養っていきたいです。

これから留学を目指す後輩にメッセージをお願いします。

先が見えない状況が続く中で誰しも不安を抱えていると思います。パンデミックを「諦める理由」にするのではなく、「今だからこそ何ができるのか」をポジティブに考え、チャンスを積極的に掴んでほしいです。